持ち換え楽器がモノを云う
本来、フルート奏者は フルート だけを吹いていれば良かったのだが、オーケストラでは
ピッコロ を持ち変えて吹くのは、昔から普通に行われている。曲目によっては、時に
アルト・フルート 等も出てくる。
ちなみにオケでは主席奏者はフルートに専念して、持ち替えるのは、セカンド、サードのパートを受け持つ奏者に成る事が多い。
スタジオの世界では、余程ずば抜けたプレーヤーでもない限りは、フルート一本で仕事するのは中々難しい。
私が最初にスタジオに入った頃は、まだそんなに色々な楽器を持ちこむ人はいなかった。
それでも、先輩に当たる某奏者等が、リコーダーやオカリナをやっている様ではあったが、至極単純なメロディーが辛うじて吹ける程度で、
キーはC、つまりハ長調のみ、臨時記号は一切駄目、音域はせいぜい1オクターブ、と云う感じで、単に玩具的な扱いの域を出る事は無かった。
フルート族以外の楽器で最初に手がけたのは、
リコーダー だった。でも、実際に現場で使うまでは、約1年くらいは準備期間が有ったと思う。その次が
オカリナ で、これはリコーダーの延長と言う感じで行けるので、これはそんなに手間をかける事は無かった。
その後、ひょんなきっかけから、 ケーナ をやる様に成り、必要に駆られて楽器を自作する羽目に成ってしまった。
ちょうどフォルクローレのブームと重なったりもして、ケーナは結構需要が多かった。
ケーナから派生したのが パンパイプ 、そして 篠笛 だった。 篠笛は、現在でも演歌や劇伴のレコーディングでは、結構頻繁に使ってもらっている。
比較的最近になって、アイルランドの民族楽器、
ティン・ホイッスル 等もやる様に成ってしまった。
スタジオ業界では、一人で色んな事が出来るプレーヤーが歓迎される。もし
フルート や ピッコロ だけでやっていたとしたら、この歳まで仕事を続けられたかどうかは、疑問である。
やはり持ち替え楽器の豊富さが物を云う、と言う様な面も有る様で、「広く浅く」が重宝される世界、と云えるかも知れない。
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